超老伝
大正3年生まれのジさまと、確定申告の会場で話し込んだ。
話の内容は主に、ジさまの健康法。
御歳91のそのジさまは、20歳は若く見える。
そして、「見てくれ、コレ!」と言って、ポケットから取り出したのはボーダフォン。
「新しいのを買ったん」だそうな。孫たちとメールのやりとりを楽しんでいるらしい。
「気が若くないとダメだ!」と、ジさまは言う。
ジさまは朝起きて顔を洗ったら、北の方に向かって大きく深呼吸をして、そして「ん~っ!」と拳を握って、身体に力を込める。
その後、仏壇に線香を供えて手を合せる。
この「ん~っ!」と、深く吸い込む香の香りが、自分の若さと長寿と健康の秘訣ではないか…、と。
そして、何でも「自分でできることは自分でやらなければダメ」だとも。
だから女房に大事にされ過ぎている亭主は、老いぼれて早く死ぬ。
ジさまは飯炊きから、65歳のやもめ暮らしの息子の世話までやってしまうらしい。
この健康法は、言っている相手が相手だけに、非常に説得力がある。
「大変よいお話を聴かせていただきました。」
と私が深々と頭を下げると、
「今度、オレの家に遊びに来いよ。」
と、58歳もの歳の差を越えてナンパされた。
…ジィちゃん、それはセクハラです。
(2006-3-2)
