更に参ぜよ…!(2007/03/13)
江戸時代、辻月丹という剣士は凄腕だったけれども、「兵法」が流行らなくなった時代のせいで、せっかく開いた道場があまり繁盛しなかった。
糊口をすする日々の中、黙々と修行に打ち込んだ月丹は、
万法は一に帰す。
一はいずこに帰するや。
更に参ぜよ、三十年。
という名言を後世に遺したそうだ。
戸部新十郎著の『剣士の名言』という本を見ると、この言葉の詳しい説明があるが、言葉が深すぎて、このようなブログで引用していちいち説明するのが野暮ったい。
とりあえず解説の末尾だけ拾うと、━━修行は終わるものではないので、三十年修行をしたら、また改めて一から三十年やれ。━━…というようなことらしい。
…
主人が、10年着古して繊維の変色したYシャツを捨てようとしていた。
私はそれをゴミ箱から拾って、台所で、出がらしのコーヒーかすとみょうばんを使って、淡い渋い色に染めてみた。
なかなかいい色に染まった。
まるで、新品のYシャツにも、見えなくはない。
黙って会社に着ていっても、誰もヘンなシャツとは思うまい。
染め上がったシャツを主人に見せて、上の辻月丹の話をして聞かせると、主人は慄いて、
「…で、それをまだあと三十年着ろと?」
…三十年とまでは言わないが、まぁ、そういうことだ。
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